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「あ、彩雪」
「え?どうしたの、和泉」
和泉に呼ばれて、わたしは振り返った。
おいでおいでと、和泉が手招きしているから、どうしたんだろうと思いながら、そちらへ向かう。
「ねぇ、キミは何が欲しい?」
欲しい、もの?
どういう意味だろう。
和泉の問いかけの理由が分からなくて、わたしは首を傾げた。
「先月のお返しだよ」
先月……
そういえば、弐号くんから聞いた「ばれんたいん」という行事の日に、和泉に贈り物をしたのを思い出す。
弐号くんが「好きな人に贈り物をして気持ちを伝える日」だというから……わたしは、和泉へ贈り物をした。
その時のことを思い出して、なんだか照れくさくなってきて、頬が熱くなる。
だけど――
「そ、そんな。お返しなんて!」
慌ててわたしは、顔の前で手を振る。
お返ししてもらうようなことなんてしていない。
いつも、和泉が、わたしのこと大切にしてくれているから、好きだって言ってくれるから、その分の気持ちを贈ったのだから……
「そういうわけにもいかないよ。だって、キミからたくさんの "好き" を貰ったんだから。今度は俺から、何倍にもして返さないと、ね?」
「和泉……」
それだけで。
そう言ってもらえることだけで、凄く嬉しい。
でも、きっと、そう伝えたとしても、和泉は納得してくれないんだろうなぁ。
だったら……
「じゃあ、あの……」
「うん?」
「あのね……わたし、和泉と一緒にいたい」
今日一日は、ずっと和泉と一緒に過ごしたい。
「そっか。うん。わかった」
ちょっとびっくりした顔をした和泉が、すぐに笑顔を浮かべる。
そして、ぎゅっと抱きしめられた。
「こうやって、ずーっとキミのこと抱きしめて……今日は、ずっと二人っきりで過ごそうか」
「うん……」