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2月4日、和歌山の紀伊風土記の丘にて、実験民具学講座が開催されました。
昨年は竃で御飯を炊いて食べましたが…今年は、藁細工…藁草履と注連縄を作りました。
藁を綯うなんて、現代の日常生活の中では、ほとんどやる機会のないものです。
民俗調査に行くと、特に祭の前なんかは、ムラの方々が注連縄などを作ってらっしゃいます。
「うまいこと作るなぁ~、どうやるんだろ…」
と、前々から縄を綯うことに興味はありました。
…でも手元に藁があるわけでもなく、やり方も分からないので…どうしようもなかったですが。
で、今回の実験民具学講座です。
今年は藁細工。
…と聞いて、「わ~いっ!」と、かなりワクワクと心待ちにしてました。
実際にやってみると…
こ、腰が痛い…
あの体勢は身体の固い私には拷問です。
裸足になって、足で端を押さえ…
両掌の間に藁を挟んで綯う、綯う、綯う。
右綯いと左綯いがあって、それぞれが用途によって使い分けられてて…
右綯いは日常用
左綯いは非日常(しめ縄はこっち)
でも、草履は両方つかうそうです。鼻緒部分が左綯い。
最初は練習ということで、右綯いと左綯いができるように…と。
おっかなびっくり、藁を手に取り端っこを仮止めして足で抑え…
「右綯いは…右手を向こうに…」とか考えながらやってみる。
……あれ……
「これでいいのだろうか…」オドオドしつつ、やってゆく。
そして、「をや?」
なんだか覚えのある感覚。
いつも自分の髪を三つ編みにしてるときの感覚に似てることに気付きました。
扇風機のネジとかと同じ要領なのだと。
解けないのは、捻るのと巻くのを逆へするから。
だから縄というのは捻ってるだけに見えても解けない。
とはいえ、今度は逆の左綯い。
応用問題の苦手な私は、早速混乱。
「ほ、ほどける~!」
結局、逆にしてたらしいです。
そんなこんなで何とか本題の草履へ。
今度は右綯いで長い縄を作らなきゃいけません。繋いで、繋いで…って、繋ぐのも難しい。
編み物だったら、毛糸を結んで長くするわけですが、縄って結ばないんですよね。継ぎ足して綯ってゆく。引っぱっても切れなくなるのが不思議です。先人の知恵って、凄い…
土台を作って、ようやく草履の下の面を作り始められるんです。
上下上下、編み編み、編み編み……
延々と続く作業。
両足を伸ばして親指にかけ、幅を作りながらの作業。
最初はワケ分からないまま(つま先から作り始めるのも知らなかった)だったので、やたらと細いものが出来上がりつつありました。
鼻緒をつける段階になって、端っこが草履に繋がった状態での左綯い。む…難しい……
これもある程度の長さが必要なんで、繋いで繋いで…綯って綯って…
そうやって仕上がったのが写真のブツです。
左の「ハイヒールかよ!」ってな状態のものが初作品。右の「子供用か!?」ってのが二作目。
比較的早くできて、少々手持ち無沙汰だったのと、一つ目の鼻緒の処理が上手くいかず、抜けてしまったのが悔しかったのとで、復習の意味も兼ねて作ってみました。小さくて履けない…自分の足の大きさ考えて作れよ…(苦笑)
天気がよかったので、外でやったのですが…紀伊風土記の丘を訪れてらっしゃったおじ様方おば様方が興味深げに、懐かしそうに…私たちの様子を見に来られました。
「懐かしいことしてはるわ」
「こうやって(両手に唾つけて)作ったもんや」
「遠足行くのに二足作っていった」
そんな風におっしゃってるのを聞いていて、「昔のこと…って言っても、まだまだ生きてるモノなんだな。私たちができないだけ、近年になってやらなくなっただけなんだな…」と思いました。
民俗とか民具っていうと、「古い」と思われがちだけれど、遠いものじゃなくて…本当はとても近くにいるのに、私たちが分かってないだけなんだな…と感じました。
せっかく身に付けたこの経験。本当は体が忘れないようにやっていかなきゃいけないんですが…
藁は手に入りません。由々しき問題です。
今度、祭調査に行ったら、ちょっと手伝わせてもらおうかしら?